読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

FX

市場相場は TradingView.com によって提供されています

トルコのエルドアン政権 「懸念されるEUとの関係」=EU崩壊への序章となるか

経済投資情報ON LINE

 

f:id:universaldiary:20170419115109j:plain

4月16日、トルコで大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、エルドアン大統領は賛成多数となったと「勝利宣言」した。写真は結果を喜ぶ同大統領の支持者ら。(2017年 ロイター/Murad Sezer)
(出典 REUTERS ロイター
 

トルコで大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票が16日に行われ、エルドアン大統領は賛成多数となったと「勝利宣言」した。これに対し野党などの反対派は、投票に不正行為があったと主張している。

クルド系住民が大半を占める南東部や、首都アンカラおよびイスタンブールなどの3都市では「反対」票の方が多かったもようだ。

エルドアン氏は、大統領権限の強化による議会制度の改革を2500万人が支持し、賛成票は51.5%に達したと述べた。同氏と与党の公正発展党(AKP)が求めていた決定的勝利には届かなかったものの、同氏の支持者ら数千人がアンカラとイスタンブールで旗を振って勝利を祝った。

エルドアン氏は「わが国の歴史で初めて、文民政治において国家統治制度が変わることになる」と述べ、「これが非常に重要であるのはそのためだ」と強調した。

一方、最大野党の共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首は、国民投票の合法性に疑問の余地があると主張。賛成票を投じた有権者は法の範囲を逸脱したと批判した。高等選挙委員会(YSK)は投票に不正行為があったと判明しない限り、当局が認証印を押していない投票用紙もカウントすると発表しており、CHPは先に最大60%の再集計を求めていた。

クルチダルオール党首はエルドアン大統領が「ワンマン体制」を追求していると述べ、大統領が提案した改革はトルコを危険にさらすと警告した。
(出典 REUTERS ロイター

 

対立が懸念されるエルドアン大統領とEU

エルドアン大統領はEUを批判するなど対決姿勢を強めている。3月には、EU各国がトルコ系住民のエルドアン政権支持集会をやめさせたり、オランダでは集会に出席しようとしたトルコ閣僚の入国を阻止した経緯がある。エルドアン政権支持集会の開催に難色を示した国はスウェーデン、オランダ、ドイツ、オーストリア、スイス、フランスなどに広がっていた。

特にオランダは3月11日、トルコの外相の乗った航空機のオランダ着陸を拒否して入国させない強硬な措置に踏み切った為、エルドアン大統領はオランダを「ナチスの残党」などと強く非難した。また、エルドアン大統領の「ナチス」の言葉に、ドイツのメルケル首相は「容認できない」と表明したが、エルドアン大統領は今度はメルケル首相に非難の矛先を向け、「お前はテロリストを支援している」などと罵った。

エルドアン大統領は「敵を見いだしては攻撃を仕掛ける」危うい政治手法を得意とし、勝利宣言においても、死刑問題がEU加盟交渉を行う上でEUにとって譲れない条件だと知りながら、死刑の復活について協議すると表明するなど、EUに対して挑発的な言動を取りはじめている。

死刑制度の復活が現実になればトルコのEU加盟は閉ざされる事になるが、エルドアン大統領はEUとの関係を見直す事を示唆する強硬な言動を取っており、トルコから端を発するEUの先行き不透明感は強まっている。

もし、エルドアン大統領がEUとの対立姿勢を強めた場合、EUにも困る事情がある。EUは、シリアやイラクの内戦を逃れて欧州に押し寄せる難民をトルコとの合意で引き取ってもらっているのだ。EUにとってトルコとの関係悪化は、昨春に合意した欧州への難民流入の抑制策に影を落としかねないネガティブ材料であり、それは再び深刻な難民危機に襲われるリスクを意味する。

また民主主義国トルコは、ヨーロッパと中東との間の緩衝地帯であり、NATO(北大西洋条約機構)加盟国として中東地域の安全保障に大きな影響を及ぼす存在でもある。権限強化で自信を強めたエルドアン大統領が独裁化の色を強めれば、政治経済の悪影響は欧州全体に及ぶ。これで、もし、フランスで「ルペン大統領が誕生」の運びとなった時、EUの崩壊危機は一層現実味を帯び始めるだろう。

 f:id:universaldiary:20170413140325p:plain

経済投資情報オンライン