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トランプラリーのドル高の行方「迷走」-ロイター記事から考察

 1月27日、トランプ米大統領は、メキシコからの輸入品に20%の関税をかける案を検討している。写真はホワイトハウスで24日撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

トランプ米大統領は、メキシコからの輸入品に20%の関税をかける案を検討している。これは世界貿易機関(WTO)違反の疑いがある。今後、WTO違反の嫌疑が濃い対応が続出すれば、世界の市場はリスクオフと判断して、ドル下落圧力が高まるかもしれない。

出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

どのタイミングでリスクオフが形成されるのか、予想するのは難しい。トランプに関しては依然として「期待からのドル高圧力」があるので、本来ならリスクオフの要因でも、市場の反応が限定的となる場合も有り得る。

 

ホワイトハウスのスパイサー報道官は26日、記者団に対し「輸入品に対し、新たに20%の税を課す。これは160カ国で現在、行われていることだ」「米国の政策では、輸出に課税し、輸入に課税しておらず、不合理だが、この新たな枠組みを導入すれば、壁の建設費を簡単にねん出できる」と述べた。

出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

世界貿易機関(WTO)のルール上メキシコからの輸入品にだけ新たな課税を実施する事は出来ない。更にトランプは選挙期間中に中国からの輸入品に45%の国境税を課すと豪語していたが、特定の国をターゲットにして高い関税を掛けることも世界貿易機関(WTO)のルール違反となる。

 

メキシコ国境に壁を造る大統領令に署名し、トランプ大統領の本気度は、かなり高いのではないかとの観測が浮上している。そこに出てきた「20%の新関税」案である。このままWTO原則を無視した対応を継続するなら、自由貿易の原則は、米国自らが破壊することになるのではないか、との懸念が、市場関係者の一部でささやかれ始めた。

出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

自由貿易がもたらした恩恵こそがグローバル経済の本質だが、トランプはグローバル経済によって富を得る事が出来なかった「忘れ去られた人たち」の支持を集めて選挙に勝った。故に自由貿易を破壊する事は厭わない可能性がある。更にトランプは就任演説で「保護主義こそが米国の繁栄に繋がる」と繰り返し主張していた

 

このままトランプ大統領が保護貿易をまん延させるような政策を継続するなら、第2次世界大戦後に構築された自由貿易主義は、大きな脅威にさらされると考える。

なぜなら、WTOの前身の関税と貿易に関する一般協定(GATT)は米国主導で設けられ、米国が一貫して自由貿易を主導。最も大きな恩恵を受けていたのも米国だからだ。

現在でも世界最大の経済大国である米国が、自由貿易の原則から離れる対応をするなら、世界経済がいずれ、縮小均衡のトレンドに入るのは明らかだ。そういうことが、多くの市場関係者の中で認識されるようになった場合、先行きの景気後退や混乱を大きな要因として、市場はリスクオフ心理が優勢となり、ドル安ムードが広がるだろう。

 出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

トランプが自由貿易を破壊するのなら、間違いなくリスクオフのムードが形成されるが、それが必ずしもドル安に繋がるとは限らない。トランプの「米国第一主義」によって世界から投資資金が米国に流入し、更にトランプのインフラ投資、減税等による期待感から、ドル高が維持される可能性もある

 

タイトな雇用環境の下での財政拡張は、ドル高を促進する要因となる。あいまってインフレ期待が高まり、現実の物価上昇率も加速の気配をみせれば、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペースも自ずと速まっていくだろう。そのことが、さらにドルを押し上げる要因となる。

さて、ここで問題になるのは、ドル安の圧力とドル高の圧力のどちらが強いのか、という点だ。今のところ、トランプ大統領が現在の「自由貿易」の基盤を根こそぎ破壊すると見ている市場参加者は、極めて少数にとどまっている。

出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

利上げペースが速まれば強力なドル高要因となるだろう。仮にトランプが自由貿易を破壊したとしても、「米国第一主義、米国の利益」が守られればドル安要因にはならないと予想する。

 

トランプノミクスがうまくいかず、停滞を示す経済指標が多くなれば、「不都合な現実」から米国民の目をそらすため、海外に攻撃の「標的」を造る展開もあると予想する。

その標的の1つに日本が浮上し、円安がやり玉に上がれば、円高が一気に進むシナリオが現実味を帯びる。

また、関税の壁で米国を囲い込むような政策対応が、これから数カ月間に続出していけば、市場は「自由貿易主義の放棄」とみなす局面が来るかもしれない。そのケースでは、より劇的にドル安が進展する可能性があると予想する。

自由貿易の原則を「ちゃぶ台返し」のように放擲(ほうてき)することだけは、止めてほしいと願うばかりである。

出典 ロイター | 経済、株価、ビジネス、政治ニュース

経済指標の数字がネガティブだった場合、「不都合な現実」から米国民の目をそらすため、海外を標的にする事は有り得る。もう既に日本とメキシコ、そして中国は標的としてやり玉に上げられている。

仮に円安をやり玉に上げてきても、米国側の要因でドル高円安になっているのなら、トランプ砲を発射しても円高に持って行く事は難しいだろう。

繰り返しになるが、トランプが自由貿易を放棄しても、米国内に資金が流入する事で米国株高とドル高になれば、トランプがドル高牽制を強める事もない。

はたしてトランプの対外国に対する貿易政策に、NYダウがどのような反応を示すのか。NYダウが高値圏を推移している間は、ドル高も継続すると見る。