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FX

東芝「ストップ安」の衝撃

2017年3月期に米原子力発電事業で数千億円規模の減損損失を計上する可能性があると発表した東芝株は、12月28日にストップ安まで投げ売られた。東芝の株価は、不正会計問題の処理によって上昇基調が続いており、トランプラリーに乗った形で同社の株に多額の資金を投じた個人投資家も多いと思われる。トランプラリー終焉の前に、上昇基調が崩れる怖さを東芝が身をもって教えてくれた。

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(出典 http://jp.reuters.com/

 

経営再建中に巨額損失

東芝は、昨年度に2600億円の巨額の損失を計上した米原子力子会社ウェスチングハウスに続き、今年度はその子会社の建設会社CB&Iストーン&ウェブスターも1000億円単位の損失を計上する可能性があると発表した。

不正会計問題から立ち直り、東芝の株価は上昇を続けていたが、2年連続の巨額損失の恐れで大幅続落となり、主力事業として位置付けている原子力事業が、東芝復活に水を差す格好となった。

 

東芝の先行きはどうなる?

かつて東芝は、HD DVD事業で「我々は絶対に負けない」と豪語していながら「勝ち目がない」として撤退を判断し、約1500億円以上の累計損失を出した。次世代DVD戦争で負けて、原発事業の歪みに不正会計問題、そして2年連続の巨額損失、まさに踏んだり蹴ったりの状態が続いている東芝だが、原子力事業は重要な国策の上、東芝の持っている技術の海外流出を避ける為にも、最終的には国が増資をするだろう。

 

東芝の損失額

2015年末に米子会社ウェスチングハウスを通じて買収を完了した原子力関連の建設・サービス会社CB&Iストーン&ウェブスターの取得価格と純資産の差にあたる「のれん」が数千億円規模に上っていると報道では伝えられているが、正確な損失額は精査中との事。

この「精査中」という言葉が市場の印象を悪くした。元東京都知事の舛添さんが、この言葉を乱発した影響で「誤魔化しや言い訳」のニュアンスを市場に与えてしまう。

ただ、東芝にも苦しい言い分はあるだろう。IFRS(国際財務報告基準)の会計では買収ののれん償却が入らないので、買収先が今回のような事をやらかしていると、東芝としては財務諸表に現れないリスクを抱えている事になる。

しかし、不正会計問題と同様に、東芝のコストに関する危機感の甘さも今回は露呈された。世界的な原発への安全意識の高まりによって、想定通りのコストでは収まらないリスクは十分に予見出来たはずだ。フランスのアレバ社は原子炉のコストが膨らんで経営危機に追い込まれた。

原発事業のインフラ設備等は、受注から完成まで時間がかかる。途中でコストアップによる採算割れのリスクを事前に想定するのは、個人商店でも容易に出来る事だ。東芝の場合はトップの意向を優先させる強引な会計ルールが不正会計問題と今回の巨額損失問題を生み出したのであろう。トップの意向をくんで、リスクから目を背け、現実を曲げて、損失を先送りして、しのいだ結果が今の東芝の現状だ。

リスクから目を背けて現実問題を先送りをしていると、損失や損害は肥大化して手に負えなくなる。東芝は、不正会計問題で在庫調整のやりくりによる不正な帳尻合わせの会計等を繰り返していた。リスクを直視せずに、こうした不正会計で利益を一時的に高めても、見掛けだけで実質を伴わないので、後で強引な帳尻合わせをしなくてはならない。そして不正発覚を防ぐ為に繰り返し継続的にやらざるを得ないはめに陥るのだ。

もし最終的な東芝の損失額が5000億円を超えて債務超過になるようなら、国が増資をする方向になると思われる。東芝は特設注意市場銘柄の指定を受けているので、公募増資は難しい。銀行からの支援も困難ならば、外資が東芝に手を出す前に、先に国が手を差し伸べざるを得ないだろう。東芝が、シャープのように外資に飲み込まれるような事にはならないと思うが…。

 

上昇基調が崩れる時の怖さ

東芝の株価は、約3カ月ぶりの安値で取引を終えた。2日間の下落率は約30%に達し、トランプラリーで上昇した分も全て帳消しとなってしまった。

【東芝の株価の推移 2016年1月~2016年12月】

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(出典 http://finance.yahoo.co.jp/

今回の東芝の株価下落は、たった2日間でトランプラリーの上昇分を全て吹き飛ばしてしまったのだ。今年の2月から右肩上がりの上昇基調を保ち、そこにトランプラリーによる日経平均株価の大幅上昇が加わった為、東芝株に手を出した気の毒な個人投資家も多いと思うが、トランプラリー崩壊前に、上昇基調が崩れる怖さを東芝が教えてくれたと受け止めて、この教訓を今後の投資に活かしてもらいたい。

今、東芝株を買うのはギャンブル的要素が強い。安易に個人投資家が手を出すのは危険である。数千億円規模の損失額の推移の行方と金融機関や国の出方を見極めたいところだ。投機マネーも、ここから東芝の株で儲けようと狙っている事だろう。

(現役デイトレーダー)