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FX

非合理な魔法は投資の世界には存在しない

人は不完全だからこそ、「魔法」「占い」「宗教」「スピリチュアル」等に心が惹かれてしまうのだろう。魔法を描いたアニメや映画が人気を有するのも、不完全な人間が合理性の枠の外(ファンタジー)に幸福や快楽を求める習性があるからだ。

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(出典 ciatr[シアター]|映画・ドラマ・アニメをもっと楽しく。

 

魔女の宅急便

ある田舎町では、少女は13歳の満月の夜に魔女になる為の修行に旅立つ風習があった。少女キキもその風習に従って箒に乗って飛び立っていった。知らない町で魔女として独り立ちをするキキの成長を描く作品である。

キキは魔法を生かして宅急便を営む事になるが、途中で魔法の使い方を忘れてしまう。そんなキキに優しく接してくれた少年トンボに、キキは恋をする。

飛行船のロープにトンボがひっかかったまま宙ずりになっている事をテレビで知ったキキは、トンボを助ける為に箒にまたがり、以前の魔法を取り戻し、トンボを危機一髪で救出した。

無事にトンボを救出したキキは、湧き上がる歓声のなか、群衆のもとに降り立って行きました。※めでたし、めでたし。

 

現実の世界の厳しさ(スイスフランショック)

もし「魔女の宅急便」で魔法の効力が途中で切れてしまったら?

トンボを助けに行ったキキは、途中で魔法の効力が無くなり、トンボと一緒に真っ逆さまに落ちて地面に叩き付けられてしまう。

2015年のユーロスイス相場で、魔法使い(スイス国立銀行)を信じた多くの投資家が地面に叩き付けられた。魔法(スイス国立銀行によるユーロスイス相場への無制限介入)を信じて、多額のポジションを保有していた人は、2015年1月15日にスイス国立銀行の為替方針の撤廃を知った時、夢(魔法)から現実(破産)に揺り戻される事になった。

 

夢から覚めた時、恐怖の現実が待っている

魔法の世界に夢を見て大きな快楽を味わっていると、夢から目が覚めた時、目の前に恐ろしい現実を突きつけられて驚愕する事になる。

【ユーロスイス 2010年~2016年】

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(出典 http://www.investing.com/

 

人は信じたい事を信じる、そして破滅する

信じるというのは、投資の世界では致命的である。冷静に考えれば非合理な事でも、人は信じてしまうと感情が優位に働き、合理性や論理性を失い、信じるがままに歩き出し、そして破滅(ロスカット)への道を歩む事になる。恐ろしいのは、自分が破滅への道を歩んでいる「自覚症状」が持てない事だ。

ユーロスイス相場で多くの投資家が魔法(無制限介入)を信じて多額のお金を投じ続けてしまったのは、目先の利益を得た事で、感情が合理性や論理性よりも優位に働いてしまったからだ。

2011年9月に魔法使い(スイス国立銀行)は対ユーロでの上限値を1.2000にする為に魔法(無制限介入)を使った。最初は魔法に半信半疑だった多くの人も、実際に1.2000付近でロングポジションを持つ事で利益が取れるようになると、感情優位になり、信じてはいけない魔法を信じるようになってしまった。

エスカレートする感情は歯止めが効かない。魔法の効力を信じた多くの投資家たちは、多額のお金をユーロスイス相場に投じてしまい、2015年の1月15日、魔法の効力が切れた時(スイス国立銀行の為替方針の撤廃)、膨らんだポジションは無残に破裂した。

ハッピーエンドのはずのキキとトンボが、突然魔法の効力を失って真っ逆さまに落ちるかの如く、多くの投資家たちは、空飛ぶ箒だと信じていたのが、ただの箒だと突然知らされて地面に落とされたのだ。

 

信じる事は非合理であり、思考は合理的である

スイス国立銀行(魔法使い)の無制限介入(魔法)は、一見すると論理上の問題は無いように思える。ジョージ・ソロスが仕掛けたポンド危機とは違い、上昇を抑える介入となるので自国の通貨を刷り続ければ良く、資金源が尽きる心配は無い。加えてスイス国立銀行の信用力も大きく影響した事だろう。これが新興国の中銀なら、多くの投資家たちも疑念の感情が湧いたかも知れない。新興国ではなくスイスだからこそ、多くの投資家たちが信じてしまった。

しかし、「スイスフラン売り、ユーロ買い」を続ければユーロ建ての資産が膨らみ、ユーロ安がスイスの国民資産の減少に繋がってしまうのだ。更にECBが量的緩和を実施すれば、対ユーロの上限をスイス一国だけの力で維持する事など出来る訳がない。冷静に思考すれば、スイス国立銀行の為替政策が永続的ではない事など、投資初心者でも容易に分かる。人は信じてしまうと論理的な思考が出来なくなり、非合理な選択をしてしまう。

 

最後の最後まで信じ続けて、そして破滅する

2015年1月15日の運命の日が訪れる以前から、ECBが量的緩和に乗り出すのは時間の問題だと、誰もが認識をしていた。1月12日に魔法使い(スイス国立銀行)は、魔法(無制限介入)の効力はまだ有効であると発信した。この時点で「信じる事をやめた」投資家はロスカットから逃れる事が出来たが、魔法使いの魔法の効力を最後まで信じてポジションを持ち続けた投資家は、運命の1月15日、魔法使いから魔法の効力が切れた事を告げられて、夢の世界から無情な現実の世界に引きずり降ろされ、そして破産に追い込まれた。

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(出典 http://www.beginner-binary.biz/

 

現実を直視する

信じたい事を信じるのではなく、現実を直視する事が重要である。合理性や論理性は頭の良し悪しとは関係が無い。目の前の現実を直視しながら思考を繰り返せば、非合理なカラクリを見抜けるようになる。目先の利益(快楽)に振り回される事もなくなる。

あなたがドル円で手にした利益は、あなたの知らない誰かの損失である事を忘れてはいけない。あなたが足を踏み入れている投資の世界が、どれだけ過酷な世界なのかを直視する事だ。そうすれば、あなたは誰からも騙されず、洗脳もされず、どんな情報からも惑わされる事も無く、自分の投資スタイルを確立する事が出来るであろう。

(現役デイトレーダー)